こんにちは、Velo’s blogです。
今回は、アメリカのトレーニング施設「Top Velocity」でトレーニングしている、最高球速が90mph(144km/h)以上の投手たちのウエイトトレーニングの数値を調べてみました。
その結果を僕なりの考察を交えながら、数値の紹介をしていきたいと思います。
※記事の前半がMax144km/h以上の投手の数値、記事の後半が120km/h程度から144km/h以上になった投手の数値になっています。
Twitterに載っていた下の画像に加え、Instagramの投稿などに載っていた情報も基に計算しました。
Mayhew!! Great hearing from you big guy. Here you go pic.twitter.com/RQkvkC3t8q
— Steven Guadagni (@StevenGuadagni) December 1, 2017
では、ここから
- 体重
- パワークリーン
- バックスクワット
- ベンチプレス
の数値を見ていき、それぞれの数値が球速とどのような関係があるのか、調べていこうと思います。
目次
Max144km/h以上の投手のウエイトトレーニング数値
これからそれぞれの数値を見ていきますが、まず上の図が、球速とそれぞれの数値を散布図にしたもの。
下の図が、最高球速が144km/h~149km/hの投手と150km/h~160km/hの投手にグループ化し、それぞれの平均、最も高い数値、最も低い数値を出していったものです。
それでは、体重→パワークリーン→バックスクワット→ベンチプレスの順番で見ていきましょう。
体重
球速帯 | 平均体重 | 最高 | 最低 |
150~160km/h | 105kg | 115kg | 88.4kg |
144~149km/h | 92.1kg | 105kg | 76.2kg |
体重のグラフはこのようになりました。
上の散布図を見ると、体重が増えていくに従って、球速の速い投手が増えている傾向にあることが分かります。
このことは下の表からも分かりますが、球速帯別に見ると最高球速の速い投手のグループの方が平均体重が約13kgも重いという結果になっています。
それにしても150km/h以上の投手は平均で105kg、最重量だと115kgもあるんですね。
日本にもプロや社会人野球なら100kg近い投手はいるかもしれませんが、日本の高校生や大学生と比べると文字通り桁違いです。
パワークリーン
球速帯 | パワークリーン平均 | 最高 | 最低 |
150~160km/h | 123kg | 140kg | 102kg |
144~149km/h | 135kg | 151kg | 117kg |
パワークリーンの表はこのようになりました。
どちらのグループも平均で120kg以上のパワークリーンを挙げるのというのは、もはや化け物です。
この表を作っている際に僕も驚きましたが、全身の爆発力の指標として見ることのできるパワークリーンは球速と比例すると思っていました。
しかし平均値で見ると、「144km/h~149km/hの投手のグループの方が高い」という結果になりました。
更に、最高と最低の数値を見ても、どちらも144km/h~149km/hのグループが150km/h~160km/hのグループの最高、最低の数値を上回っています。
一概に「パワークリーンが強ければ球速が速い」とは言えないようですね。
バックスクワット
球速帯 | バックスクワット平均 | 最高 | 最低 |
150~160km/h | 178kg | 217kg | 143kg |
144~149km/h | 182kg | 229kg | 165kg |
次はバックスクワットの数値です。
この数値も化け物とはいきませんが、最高重量を見るとだいぶ凄いですね。
そして、またもや144km/h~149km/hのグループの方が全体的に上回っています。
ベンチプレス
球速帯 | ベンチプレス平均 | 最高 | 最低 |
150~160km/h | 120kg | 158kg | 90.7kg |
144~149km/h | 122kg | 135kg | 90.7kg |
最後の項目がベンチプレスです。
ベンチプレスの平均でも、2kgではありますが、144km/h~149km/hのグループが上回る結果になりました。
ちなみに両方のグループを通じてトップの記録は158kgですが、おそらくこの記録は、Top VelocityのCEO、Brent Pourciauさんですね。さすがです。
しかし意外にも、最低の記録では90.7kgという数値も出ており、非常に興味深いですね。
144km/h~160km/hの投手のウエイトトレーニング数値についての考察
いかがだったでしょうか。
何と言うか第一印象としては「体重もパワークリーンもバックスクワットの数値も異常」でしたよね。
でも冷静に考えると、150km/hオーバー、160km/hの最高球速を持っている投手というのはプロの中でもトップクラス(それ自体がある意味で異常)だと思うので、これほどの体重やパワーがあるというのはある意味当たり前かもしれません。
ちなみに僕が興味深いと思った点は、最高球速が144km/h~149km/hの投手の平均値が、すべての種目で150km/hオーバーの投手の平均値を上回っていた点ですね。
このことについてですが、150km/h以上というハイレベルな球速になると、ある程度(約100kg)の体重があった方が球速を出しやすい、逆に言うと、筋力的に優れた数値を出せる能力を持っていても体重が十分でないと、「体重」が球速を向上させることに対して制限をかけてしまう要因になっている可能性もある、という風に思います。
この平均の結果を見て、「あ、球が速い人の方が筋力弱いんだったらウエイトいらないじゃん」と思う人もいるかと思います。
しかし、そう思いたくなるのも分かりますが、もう1つ、参考になるデータがあります。
今までは、144km/h以上の投手のウエイトの数値を見てきましたが、ここからは120km/h台から144km/hになった投手を含む3人の選手のウエイトトレーニングの数値を紹介していきます。
135km/h以下から144km/h以上へ球速アップした3投手のトレーニング数値の推移
3選手それぞれ、上が当初の数値、下の段が球速アップ後の数値です。
選手名 | 球速 | 体重 | パワークリーン | バックスクワット | ベンチプレス |
Wilson投手 | 128km/h | 69.4kg | データ無し | データ無し | データ無し |
144km/h | 78.9kg | データ無し | 165.6kg | データ無し | |
Baez投手 | 135km/h | 78.9kg | 97.5kg | 138kg | 90.7kg |
144km/h | 90.7kg | 117kg | 183kg | 131.5kg | |
Owens投手 | 119km/h | 88kg | 79kg | 102kg | データ無し |
153km/h | 99kg | 113kg | 183kg | データ無し |
※スマホの縦画面だと全体が見えない場合がありますが、画面の向きを横に変えてもらえれば全体が見えると思います。申し訳ありません。
表を見ると分かる通り、Wilson投手とBaez投手の当初の体重やウエイトの数値を見ても、特別優れているというわけではありません。
Baez投手の当初の数値はパワークリーンが少し高めですが、むしろそれ以外の数値は、日本の高校生や大学生でも同程度の数値を出せる選手も意外と多いのではないでしょうか。
また、3番目のOwens投手は体重は始めから重いですが、ウエイトの数値は非常に低く、球速も119km/hしか出ていません。
ですがOwens投手は、最速153km/hまで球速アップすることができています。
この数値はなかなか勇気を貰える数値ではないでしょうか。
3選手とも始めの数値は、日本の高校や大学にもいるような平均的な数値でしたが、バックスクワットやパワークリーンの数値の向上に見られるように、股関節伸展筋群を強化し、体に十分な筋力、筋量がついたことで大幅な球速アップを達成したのだと思われます。(断言はできませんが)
135km/h以下の投手のトレーニング数値の推移と球速向上についての考察
135km/h以下から144km/h以上のボールを投げられるようになった3選手ですが、これは単なる一例に過ぎないのでこの数値だけを見て「これが球速アップの要因だ」とは言い切ることはできません。
しかし、基礎筋力を高めることで大幅な球速アップに繋がった可能性は高いと思います。
数値的に見れば、この記事を読んでいる人の中には彼らの初期状態と同じくらいの数値を出せる人もいると思うので、是非ロールモデルにしてみてはいかがでしょうか。
144km/h以上出す投手達のウエイトトレーニング数値の全体まとめ
今回の記事をまとめると、
- バックスクワット、パワークリーンという股関節伸展筋群やベンチプレス等、全身の筋力を強化すると球速を大幅に向上させる可能性がある。
- 144km/h~160km/hの投手は、それ相応に常人離れしたウエイトの数値を記録している。(球速がそもそも常人ではないので当然かも)
- 現在の球速が120km/h程度の投手でも基礎筋力、筋量を確保すれば大きく球速を上げられる可能がある。
といった感じです。
いかがだったでしょうか。
正直、150km/h~160km/hの投手たちのデータ(記事の前半)を見て、「体重も筋力も桁外れじゃん」と思って萎えてしまった人もいるかもしれません。
ですが、最高球速がぴったり144km/hのBaez投手のような数値なら現実味があると思います。
今現在、144km/hに到達していない投手はこのBaez投手の数値に近づけるようにトレーニングしていくと良いかもしれません。
しかし、1つだけ注意して欲しいことは、今回データを参考にしたTop Velocityという施設は、ウエイトトレーニングの為だけの施設ではなく、モビリティやメカニクス向上の為のドリルも並行して行っています。
なので、ウエイトの数値だけを伸ばせば、大幅に球速が上がるということではなく、筋力や筋量は大幅な球速アップする為の1つの要素に過ぎないということです。
ぜひ、「筋力と筋量は球速を出す為の1つの要素に過ぎない」ということを頭にいれておいて頂ければ幸いです。
今回はウエイトトレーニングの数値を見てみましたが、次回以降、144km/h以上の投手の立ち幅跳びや垂直跳び、10ヤード走の数値等、全身の瞬発力と球速についての記事も書いていきたいと思います。
瞬発力トレーニングの数値と球速の関係についての記事はこちらです↓
ちなみに過去の記事では、下半身や上半身のウエイトトレーニングやパワークリーンと同じクイックリフト種目であるハイプルについての記事も書いております。興味のある方は是非どうぞ。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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それではまた。