こんにちは、Velo’s blogです。
今回は「球速アップの為の上半身のウエイトトレーニング」ということで、その考え方や鍛え方について書いていこうと思います。
では、さっそく行きましょう。
目次
ピッチングにおける上半身の使い方|球速アップに必要な動作
上半身の使い方は 球速アップの為のロードマップ|投球フォームと身体作りの方法を解説 で解説した通り、主に「捻転差(hip to shoulder separation)」と「腹筋での加速」だと書きました。
なので、上半身の鍛え方は、「捻転差の為の可動域を無くさないようにしつつ、ボールを加速できるように強化していく」というように考えていきます。
また、ただ強化していくだけでなく、可動域や柔軟性も確保しながら強化していかなければならないので、自分の感覚や動きやすさにある程度のセンサーを張ってトレーニングすることをおすすめします。
では、まずはメニューを一覧にして書いていきます。なぜそのようなメニューになるのかは一覧にした後、解説していこうと思います。
投手の上半身ウエイトトレーニングメニュー
〈胸、腕〉
ローテーショナルダンベルプレス、インクラインローテーショナルダンベルプレス、(ベンチプレス)
〈腹筋〉
アブローラー、ツイスト(下記のTwitterリンク参照)
〈背中〉
(デッドリフト)、懸垂、シーテッドロウ、インバーテッドロウ、ワンハンドダンベルロウ、
上半身のウエイトトレーニングメニューはこのような感じになります。
これからそれぞれのトレーニングの解説に移っていきます。
胸、腕、腹筋のトレーニング
上半身(胸、腕)を鍛える目的は、上半身が一番しなったところからボールを加速できるようにする為です。
「一番しなったところから加速させる」ということは、腹筋や胸筋をはじめとした、「表側の筋肉」が引き伸ばされ、それが縮むことで加速していくことができる、と言い換えることができます。下の画像のようなフェーズから一気に収縮していくイメージです。
しかし、この腹筋や胸筋という「表側の筋肉」を使ってボールを加速させると言っても、腹筋や胸筋単体では小さな力しか発揮できません。
そこで、表側の筋肉を連動させながら大きな力を出すことが重要になってきます。
その際に重要な筋肉が、腹筋、前鋸筋、胸筋の3つの筋肉です。
トレーニングをする際には、それぞれ単体で鍛えることも良いとは思いますが、これら3つの筋肉を連動させながら鍛えることで、連動させることが「自然とできるようになる」「良い意味でクセになる」ということが期待できます。
こういった理由から、僕はベンチプレスよりもマルチカールバーでのベンチプレス(ローテーショナルダンベルプレス)をおすすめしています。(ローテーショナルダンベルプレスの詳しいやり方は下の動画から)
動画を見ていただくと分かると思いますが、回転を取り入れたベンチプレスでは腹筋、前鋸筋、胸筋という表側の筋肉を総動員してトレーニングすることができます。
このように筋肉を連動させ、胸郭の動きを伴いながら重りを上げるので、より投球動作に近い動きの中で出力する感覚を鍛えることができます。
一方、通常のベンチプレスでは、体幹部分をある程度固定しながら胸筋単体で上げてしまいがちなので、連動性を失った動き方を体が覚えてしまいやすいです。(単純に筋力をつけるという理由でベンチプレスを取り入れるというなら全然良いと思います)
こういった理由から、上半身のウエイトトレーニングをする際には、ローテーショナルダンベルプレスで強化していくことをメインにして、ベンチプレスは自分の筋力の現状を知るための目安程度に実施する、という考え方で良いと思います。
このように、胸郭の動きと連動させながら鍛えていくことによって、ピッチングに必要な「腹筋での加速」を強化することができます。
※Amazonでは現在取り扱いしていないようです。
このマルチカールバー(持ち手が回るバー)は値段がそれなりにするので、回転式のプッシュアップバーでも代用が可能です。
腹筋のトレーニング
続いては腹筋のウエイトトレーニングについて解説していきます。
先程も書きましたが、腹筋は体が最もしなったところからボールを加速させる為には非常に重要な筋肉です。
しかし、チームの全体練習でやるような腹筋のトレーニングは「クランチ50回」等、軽い負荷で回数を多くするものが多いのではないでしょうか。
しかし、ピッチングに必要なのは「大きな力をより短い時間で出すこと」なので、ある程度強い負荷をかけて鍛える必要があります。
そこで、オススメするのがアブローラーと重りを持ってのツイストです。(下記のツイート参照)
〈球速アップにおすすめの腹筋〉
一般的なクランチなどでは負荷が弱い、投球に必要な回旋の動作が鍛えられないという問題点がありますが、この種目は・負荷を調整できる
・回旋の動きを強化できるので非常におすすめ
重りは5kg程度から始め、慣れたら10kg、15kgと負荷を上げていく@TopVelocity pic.twitter.com/3PL2FoGHHv— 投げ屋 (@throwhard67) January 21, 2020
特にこのツイストは、捻転差から引き戻される際の回旋の動作を強化できるので非常におすすめです。
このツイストやアブローラーといった種目以外にも強い負荷をかけられる腹筋はいろいろあるので、自分でも探しながらやってみることをお勧めします。
このように、これから腹筋のトレーニングをする際は15回程度の低回数で良いので、「高負荷」を意識してメニューを組んでみましょう。
背中のウエイトトレーニング
ここからは背中のトレーニングについて解説していきます。
先程、腹筋や胸筋などの表側の筋肉は、しなったところから加速させられるように強化することが目的と書きました。その一方、背中を鍛える目的は、主に2つあると考えています。それは、
- 「表側と裏側の筋肉のバランスをとるため」
- 「リリース後に腕を減速させるため」
この2つです。
表側と裏側の筋肉のバランス
表側の筋肉はボールを加速させるために強化していきますが、表側だけ強化していくと当然筋肉のバランスは崩れていき、肩甲骨の安定性もなくなっていきます。
なので、肩甲骨の安定性を高めるようなチューブトレーニング等も行いながら、背中のトレーニングもしっかりとやっていく必要があります。
チンニングなどの上から下に引く種目や、シーテッドロウ、インバーテッドロウなどの前から後ろに引く種目も満遍なくやり、表側の筋力に劣ることがないようしていきましょう。
僕の感覚的には、6対4で背中側が強くなるようにメニューを組んでいくと良いと思います。
リリース後に腕を減速させるため
リリース時に腕は高速で動いているので、リリース後はそのスピードを減速させていく必要があります。
その減速させていく際に、背中の筋肉がエキセントリック収縮しブレーキの役割を果たすので、強化していくことは必須と言えます。
このブレーキとなる筋肉が弱いと、投球時にアクセルの役割を果たしている表側の筋肉が最大限の力を発揮することができません。
背中のトレーニングについて少しだけ解説しましたが、S&Cコーチの河森直紀さんという方のブログで、より詳しく解説されているので、そちらも是非お読みください。
また背中のトレーニングに関しては、こちらの2つの記事に詳細を書いています。是非お読み下さい。
投手の上半身ウエイトトレーニングまとめ
上半身のウエイトトレーニングについて解説してきましたが、まとめると…
- 主に腹筋、胸筋、前鋸筋の3つの筋肉でボールを加速させる為に表側の筋肉を鍛える
- 表側の筋肉に負けないように背面の筋肉もしっかり鍛える
- 背面の筋肉は「肩甲骨の安定性」「リリース後のブレーキ」という2つの観点から、とても重要
これら3つのことを頭にいれてトレーニングしていくと良いと思います。特に上半身は、ボールに直接的に関わっているので、動きづらや柔軟性にも特に気を付けながら頑張っていってください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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それではまた。