こんにちは、Velo’s blogです。
投手には瞬発力の中でも、トリプルエクステンションと腹筋の瞬発力が重要という話を前回の記事 投手が瞬発力のトレーニングをする必要性|長距離走はいる? にてしました。
そこで今回は、 前回の記事の中で紹介した、トリプルエクステンション強化の為のクイックリフトについて解説していこうと思います。
目次
ピッチャーがクイックリフトをする目的|瞬発力アップの為のトレーニング
「ピッチャーに必要な瞬発力は、トリプルエクステンションの強さである」ということを、このブログではよく書いています。
簡単に解説すると、並進運動をする際、強く進んでいく必要がありますが、その際にメインとして見られる動きが、トリプルエクステンションというわけです。
フェーズとしては、このような場面になります。
このフェーズの時に、軸足の3つの関節(股関節、膝関節、足関節)が爆発的に伸展しようとすることによって、前への強力な推進力が生まれます。
なので、その部分(=トリプルエクステンション)を鍛えて、球速を上げようという考え方です。
クイックリフトでは、このトリプルエクステンションを強化することができ、トレーニングについての研究が進んでいるアメリカでは、球速アップの為にクイックリフト(主にクリーン)を取り入れる施設も存在しています。
このように球速アップに高い効果を持つクイックリフトですが、この中でも、僕は「ハイプル」をおすすめしています。
ハイプルを知らない人も多いと思いますが、クリーンのように肘を返さず、単にバーを胸のあたりまで引き上げるトレーニングです。
こんな感じです。
〈ハイプル〉
動画の選手は日本記録保持者のタンク村上こと、村上英士朗選手 @tank_murakami
重量は225kgハイプルは肘を返さないので、肘や手首に関してデリケートな投手も取り組むことができ、安全に全身の瞬発力を鍛えられます。僕はこれをやってメディシンボールバックスローが爆伸びしました pic.twitter.com/Bv5vDxa01A
— 投げ屋 (@throwhard67) February 11, 2020
それでは、ここからは具体的なやり方を解説していきます。
ハイプルのやり方|投手に最適な瞬発力トレーニング
先程軽く解説をしましたが、床に置いたバーベルを一気に胸あたりまで引き上げるトレーニングです。
ですが、引き上げると言っても、腕の力をメインに使うことなく引き上げていくのが正しいやり方です。
これからイラストで解説していきます。
基本的な流れはこのような感じです。
①開始姿勢
まず、開始時の姿勢です。しっかりと股関節を折り込み、ヒップヒンジで重りを扱えるようにします。
股関節を折り込んでバーを掴んだら(直立時でも良いですが)、肩甲骨を寄せ、背中を真っ直ぐに保ちます。
この時に反り過ぎると、腰椎への負担が大きくなりすぎてしまう可能性があるので、あくまで真っ直ぐ、背中を一枚の板と考えるくらいが丁度良いと思います。
②ファーストプル
床にあるバーを膝あたりまで持ってくることを「ファーストプル」と呼びます。
この動きは、ハイプルをする際の「助走」にあたる動作なので、素早く引き挙げる必要はありません。
自然なスピードで上げてくれば良いと思います。
この時の注意点としては、バーを膝まで持ち上げてくる際に、肩とケツが同じ距離を移動するように持ち上げてくることです。
そうすることによって、次のフェーズにスムーズに移ることができると思います。
③スクープ
このフェーズはハイプルをする際の最も重要なフェーズだと思います。
ファーストプルで膝の位置までバーを持ち上げてきたら、バーの下に膝を滑り込ませるように再度膝を曲げます。(ダブルニーベント)
こうして膝を再度曲げることでトリプルエクステンションをする準備が出来ます。
このフェーズが最も重要にして最も難しいと思いますが、この技術を習得しないとクイックリフトをする意味がほとんどなくなってしまうので頑張って身につけましょう。
④セカンドプル(トリプルエクステンション)
③のスクープによってトリプルエクステンションをする準備が整ったら、そこから勢い良くジャンプをします。
こうしてジャンプすることによって、バーが浮き、ハイプル完成、という流れになります。
最初は股関節や膝関節を伸展できずに、腕だけで上げてしまったりと難しいので、まずはシャフトだけで練習すると良いと思います。
- 腕に余計な力を入れない
- ダブルニーベント→トリプルエクステンションを習得
特にこの2つを意識、習得できるよう練習してみると良いと思います。
あとは、ひたすらウエイトリフティング選手の動画を見ましょう。
ここまで、やり方の解説をしてきましたが、本当に基本的な部分しか解説できていないと思います。参考になるSNSのリンクを貼っておくので、是非そちらもご覧ください。
特に、「やましろしょーや」さんのTwitterはワンポイントアドバイスなども多くツイートされているので非常に役立ちます。
☆ハイプル☆
クリーンやスナッチよりも
高重量を使って
股関節伸展の力発揮を鍛えますスピードがでないと悩んでいる人は
試してみてくださいポイントは
・出来るだけ早く高く挙げること
・重量に負けて前に飛ばないこと
・腕で引かないこと3〜5回×5セットを
目安に試してみてください!#挙活 pic.twitter.com/rwXUFQOur9— やましろしょーや🏋️♂️#挙活 (@yamasho0327) December 23, 2019
ハイプル!
あえて抽象的な言葉で解説してみました。 pic.twitter.com/iy0WRAIE6d— 木村聡 @TTBパーソナルトレーナー (@kimura0311) May 10, 2019
ここまでハイプルのやり方について僕なりに解説してきましたが、やはり一番良いのは、近くのウエイトリフティング教室に通うことだと思います。
それがどうしても出来なかったら、ウエイトリフティング部の友人や経験者の方に聞きながらでも、是非ウエイトリフティングの技術向上にも取り組んで見ると良いと思います。
投手の為の瞬発力トレーニングって他のトレーニングで代用できないの?
ここまでハイプルのやり方を説明してきましたが、動作の習得も難しいし、あまりやる気にならないという方もいるかと思います。
なのでここからは、他のトレーニングメニューにはない、ハイプルをするメリットを紹介していこうと思います。
主にこの2つです。
- 漸進性の原則
- 肩肘の安全性
漸進性の原則
これはウエイトトレーニングなど筋力を発達させるためにの原則の1つですが、簡単に言うと「毎回毎回同じ重さでトレーニングしても筋力は強くなりませんよ」ということです。
自分が「重さに慣れたきたな」「前より軽く挙がるようになったな」と感じたら、徐々に重さを挙げていき、体が刺激に慣れてしまわないようにしていきましょう。
こうして、徐々に扱える重量を上げていって、以前の自分と差をつけることが大切だと思います。
また、「ハイプルじゃなくても、メディシンボール投げでもトリプルエクステンションは強化できるんじゃないの?」という疑問も出てくるかと思いますが、これも漸進性の原則のことを考えると、ハイプルの方が優れていると言えます。
メディシンボールは重さを変えられると言っても、せいぜい10kg程度です。すぐに重さに慣れてしまい、成長が頭打ちになってしまいます。
しかし、メディシンボールは軽い分、スピードに特化したトレーニングをすることができるという利点もあるので、そういった意味ではおすすめです。
肩肘の安定性
クイックリフトにはハイプルの他に、クリーンやスナッチなどがあります。
クリーンはハイプルと同様にバーを胸あたりまで挙げ、そこから肘を畳んでキャッチするという種目で、スナッチは床から一気に頭上までバーを挙げる種目です。
これらの種目は、きちんと指導を受けた選手なら問題なく行えると思いますが、実際ウエイトリフティングを指導できる指導者は少ないため、正しいやり方で行わないと肩肘や手首を怪我してしまう可能性も否定できません。
ピッチャーであれば、肩肘や腕に対してデリケートになるのは当然のことなので、無理をしてクリーンやスナッチをする必要はないと思います。
それに比べハイプルは、バーを挙げた際にキャッチすることはないので、比較的安全と言え、安全面という観点から見ても投手にはハイプルがおすすめだと思います。
投手の球速アップに直結する瞬発力トレーニング|ハイプルまとめ
いかがだったでしょうか。
ハイプルはあまり知られているトレーニングではないので、取り組んでいる投手は少ないですが、効果は絶大だと思います。
YouTubeやSNSなどでも勉強して、技術を習得し大幅な球速アップを目指しましょう。
ちなみに、クイックリフトをやる際にリストストラップを使うと腕に余計な力が入らずおすすめですよ。
是非使ってみてください。
〈追記〉クイックリフトに取り組むには、スクワットやデッドリフトなどで基本的な筋力やヒップヒンジ動作を習得していることが、前提となります。
そうした下半身のトレーニング方法についての記事も併せてご覧ください
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それではまた。