こんにちは、Velo’s blogです。
「ピッチャーには背筋力が必要」というような言葉ってたまに聞きますよね。
今回は、ピッチャーと背筋力について僕なりの考えをまとめていこうと思います。
それではさっそく行きましょう。
目次
ピッチャーに必要なのは背筋力?|答えは「股関節伸展と脊柱起立筋」
「ピッチャーに背筋は必要なのか」という問いに対して、僕の答えは「YES」です。
しかし、「背筋力」と言っても、ピッチングに必要なのは、バックエクステンションのような背筋単体のものではなく、デッドリフトや背筋力計のように自分の足で地面を押しながら力を発揮するものだと思います。
こういった自分の足で地面を押しながら背筋力を測定する背筋力計は、Top Velocityでも1つの指標として用いられています。
(Top Velocityでの背筋力計の指標は226kg以上とされていますが、この選手は419kgを記録しています)
Eric Orze total body strength on the 1000lb dynamometer was 925lbs. That is the second highest amount in the TopV facility. He broke the platform in the process. #mlbstrength #mlbprospect #topprospect #mlbdraft pic.twitter.com/VOgHHbaoVt
— Brent Pourciau (@TopVelocity) April 7, 2020
またこの力を具体的に言うと、
- 股関節伸展筋群
- 脊柱起立筋
の2つの筋力が重要になってくると思います。
これから、
- 軸足でのトリプルエクステンション
- レイトコッキング期(前足が着地したところから最大外旋までの期間)
というピッチングの2つのフェーズと照らし合わせながら、なぜ股関節伸展筋群と脊柱起立筋が重要なのかについて詳しく解説していこうと思います。
トリプルエクステンション
まず、球速を出すための最も重要な要素と言っても過言ではないのが「軸足での強い並進運動(トリプルエクステンション)」です。
この並進運動の際に足関節、膝関節、股関節の爆発的な伸展動作(トリプルエクステンション)が起こることで、体は強烈に前進することができます。
そして、このトリプルエクステンションの中で最も大きな力を生み出せるのが股関節であり、その為、球速を出すためには股関節伸展筋群の強さが重要になってくるのだと思います。
逆に、このトリプルエクステンションが弱いと、ホーム方向へ進む力を下半身で生み出すことができなくなってしまいます。
そうすると、ボールを加速させるためには上半身を使うしかなくなり、結果として球速が出ない、怪我をしてしまう原因になってしまいます。
しかし、「股関節の伸展が重要と言うけれど、並進運動は横方向の動きだから股関節の「外転」の方が重要なんじゃないの?」という疑問も湧いてくるかと思います。
※伸展は後ろに蹴るような動作、外転は横に開くような動作のこと
この疑問について、答えを言うと「横方向の動きにおいても外転より伸展が重要」です。
このことについては、S&Cトレーナーである河森直紀さんが分かりやすく解説してくださっています。
以上のような理由からピッチャーは股関節伸展筋群を強化する必要があると考えています。
レイトコッキング期
次はレイトコッキング期のフェーズです。
レイトコッキング期は、前足が着地してから体が最もしなるとき(最大外旋)までのフェーズのことですが、このフェーズの際に強い脊柱起立筋が必要になってくると思います。
ピッチングでは、先程解説した「トリプルエクステンションでの強力な推進」によって、下半身が主導となって体全体が前へ向かおうとします。
体が前へ向かおうとすること自体は良いことなのですが、その際に上半身も前へ向かってしまうと「突っ込んで投げている」と言われるような状態になってしまいます。
そうなると、ボールの加速距離を十分に作れず、結果的に速い球を投げることができなくなってしまいます。
そこで、下半身と同時に上半身が前へ出ないようにするために強い脊柱起立筋が重要になってくるのだと思います。
上のイラストを見ると分かりやすいかと思いますが、下半身は前へ向かう一方で、上半身は後ろに残ろうとしています。
この際に、強い脊柱起立筋が必要になってくるということです。
また、徳島にあるインディゴコンディショニングハウスの殖栗トレーナーも高校野球ドットコムの記事にて、背筋について解説されています。
ピッチャーの背筋のトレーニング方法|股関節伸展筋群と脊柱起立筋の強化
ここまで、脊柱起立筋と股関節伸展筋群の重要性について解説しましたが、ここからはそれぞれの鍛え方を紹介していこうと思います。
脊柱起立筋の鍛え方
脊柱起立筋を鍛える為のトレーニングは、圧倒的にデッドリフトがおすすめです。
やり方は基本的に動画内の解説の通りだと思います。
また、脊柱起立筋のトレーニングとして「バックエクステンション」という種目がありますが、優先順位としては低いと思います。
バックエクステンションはいわゆる、アイソレーション種目(1つの関節のみを動かす種目、例:アームカールなど)のエクササイズです。
それに対しデッドリフトは、コンパウンド種目(複数の関節を同時に動かす種目)なので、より大きな力が発揮できる等、バックエクステンションよりはピッチングに繋がりやすいトレーニングだと思います。
また、デッドリフトはハムストリングやケツ周りの筋肉も鍛えることができるので、股関節伸展筋群のトレーニングとしても有効です。
股関節伸展筋群の鍛え方
ここからは股関節伸展筋群を鍛えるおすすめのトレーニングを紹介していきます。
バックスクワット
1つ目は王道の「バックスクワット」ですね。
スクワットは股関節の伸展と膝関節の伸展で高重量を持つことができるので、おすすめのトレーニングだと思います。
バックスクワットに取り組むことでジャンプ力が上がったという研究はたくさんあり、トリプルエクステンションの強化には欠かせないトレーニングだと思います。
ヒップスラスト
Glute Bridges - My Thoughts 🧐
➡️Great for isolating the glutes & hamstrings
➡️Allows you to train the lower body without a grip challenge
➡️Safe way to train the PC with tons of volume
➡️Doesn’t cause much muscular soreness pic.twitter.com/4QvcRJKjxr
— Alex Simone (@SimoneBaseball) November 22, 2018
2つ目はヒップスラストです。
このトレーニングは膝関節の伸展はあまり使わず、股関節の伸展にフォーカスしてトレーニングできるので、ケツを使う感覚が分からないという人にも非常におすすめです。
ルーマニアンデッドリフト
3つ目はルーマニアンデッドリフトです。
この種目は、バーベルを持ち上げた状態からスタートして、あまり膝を曲げずに股関節を折り込んでいくトレーニングです。
膝の角度を変えずにヒップヒンジを使い股関節を折り込んでいくことで、ハムストリングが伸ばされていきます。
その為、股関節伸展の際に使われるハムストリングが強化されるだけでなく、ハムストリングの柔軟性アップにも大きな効果があります。
股関節伸展にはケツ周りの筋肉だけでなく、ハムストリングも関わってくるので、こちらも必須のトレーニングと言えますね。
〈ピッチャーに必要なのは背筋力!?〉まとめ
いかがだったでしょうか。
一般的に「ピッチャーには背筋が重要だ」と言われていますが、中でも股関節伸展筋群と脊柱起立筋が重要であるということが分かって頂けたでしょうか。
是非、今回紹介したウエイトトレーニングに取り組んで、強い脊柱起立筋と股関節伸展筋群を手に入れ、Top Velocityの指標である「背筋力計で226kg以上」を記録できるようになりましょう!
追記:上背部のトレーニング(懸垂)についての記事も更新しましたので、是非そちらもお読み下さい
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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それではまた。